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2010年10月 9日 (土)

それでも聞いてほしい

このところ夜眠れずつらかった。なぜかひどく緊張していて、気を緩めることができない。
 先週から大学での講義を始めた。いつも思うのは話をすべて余さず聞いて理解してほしいということ。本なら自分のペースで読め、必要があれば読むのを止めて考えたり、読み直すことができるが、話はどんどん進むので一言でも聞き逃したら理解できないことはありうる。本のように読み返すことができない代わりに、何度か繰り返して話す工夫もするが、それでも粘り強く聞かないと理解できないだろうと思う。
 ところが聞く側はわかるところだけを拾い出して聞いているように見える。難解な講義はしないでおこうと思うが、それまで考えたこともないようなことについてすぐにわからないということはあるだろう。難しい言葉を使わず、言葉の次元でつまずくことがないようにしたいと思う。学びたいと思う学生は熱心に聴講するが、必修の講義では聞きたくなくても講義に出ないわけにいかないと思って教室にくる学生には90分は苦行になるかもしれない。
 それでも、思わず聞いてもらえる講義をしたい。何年、講義をしていても簡単ではない。

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日記」カテゴリの記事

コメント

9月は出会いと別れの連続のあわただしい日が続きました。
そんな訳で本が一冊も読めなかったので心身共に苦しかったです。
先日やっと大好きな江國香の絵本を借りてきました。
気に入った部分は後で手帳に書き写します。
その手帳を読み返して思うことは
私は彼女の話の内容より、ひとつの事柄に対しての表現の仕方に同感だったり
驚きだったりするすることに反応しているんだ、ということです。
再読してみても大筋で同じ箇所に惹かれてしまいます。
他人の話を聞くときも、話の内容よりもその人の声、話し振りの方が、良くも悪くも心を
動かします。
願えば願うほど、すべて聞いてほしいという欲望感のほうが伝わり易いと思います。
学生さん向けの講義は試験のこともありますからそう思われるのも尚のことでしょうが、
岸見先生の声に元気があるか、美しく心地よく話をされるか、
どう受け止められようがこの話は僕からのプレゼントだよというくらいの
講義を大切に思っておられる気持ちのほうがきっとより多くの学生さん達の心に届くことと
思います。

投稿: ちばちゃん | 2010年10月10日 (日) 15時48分

 いいですね、「僕からのプレゼント」。
 もっと知りたいという気持ちを起こすことができれば、後は学生が学んでくれるかと思います。
 本当は全部質疑応答にあててもいいくらいに思っているのですが、先にも進まないといけないので簡単ではありません。

投稿: 岸見一郎 | 2010年10月10日 (日) 19時33分

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