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2008年11月 3日 (月)

父帰る

 父が帰ってきた。僕が今住んでいるところからは歩けば15分ほどのところにある家に昨日荷物を運び込んだ。もともと父は仕事の関係で横浜に行く前はずっとここに住んでいた。僕もここで生まれ育った。今も僕の書庫があって、時々必要な本を取りにきていた。父にすれば帰ってきたという感覚だろう。今回、諸般の事情で帰ってきたのだが、これからどんなふうに父と関わっていくことになるかはまだわからない。気がかりなことは持病がいくつかあることと、それとも関係してこれから冬に向けてこの家が寒いことである。まずは病院で受診するところから始めることになるだろう。
 今朝は、一緒に散歩をし、朝食を用意するために早い時間に出かけた。一緒に朝食を食べていたら、「こっちにきても一人で住むのだと思っていた」と父がいうので驚く。後で友人に引っ越しを知らせる電話をしていた。その会話の中で、上の言葉に続いて「いや、別にマンションを持っているのだが」といっているのが聞こえたので、文字通りの意味ではないことはわかった。平日に動けるのは僕だけだが、かなり頼られているのは確かである。携帯電話をかけるのに難儀していたはずなのに、何の苦もなく友人のところにかけていることに今度は驚いた。
 明日からも当面仕事がない日は必要な本とコンピュータを持って通うことになる。ここにはインターネットに繋ぐ環境がまだ整っていないので不便この上ない。引っ越しに伴う役所関係、医療関係の手続きを明日から始めないといけない。
 父は、今は気力がなくて本を読めないというので、頭を使うのがいい、と助言した。もともと本はよく読んでいた。
 「この家には本がたくさんあるから、本に困ることはない」
 「でも、哲学の本なんかは読めない」
 「もちろん、哲学の本を読む必要はない。そうだった、毎月この家で読書会をしている。この部屋を使いたいがいいだろうか」
 これまで読書会で使っていた部屋は今回父が使うことにしたので、隣の部屋に玄関に置いてあった応接セットを移した。
 「それは一体どんな本を読んでるんだ?」
 「哲学…かな」(目下、プラトンの『パイドン』を読んでいる)
 「ではわしが出てもわからんかもしれんな」
 父は参加する気なのだ、とまた驚く。
 一体、これから何度驚くことだろう。
 一緒に連れてきた父の愛犬が夢の中に出てきた。玄関を入ったところで昨夜はおとなしく寝たはずだ。その玄関の戸にきれいな紫色の花が一輪咲いていた。そんな夢。

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日記」カテゴリの記事

コメント

何かあったら直に行ける距離に来られて、お互いに安心されたのではないでしょうか?
大きな子供がいるというのに、両親といるときは、私はいつも子供にかえっています。いつか逆転するかな?と思いながら、たとえ知っている事でも、知らない振りをしてみたりして・・・まだ子供でいられる幸せをかみしめています。

投稿: おりひめ | 2008年11月 3日 (月) 17時10分

 父は僕の前では子どもみたいです。丁寧な言葉を使ってありがとうというのです。でも父に戻る時もあります。歩くと少し遠いです。今日は二度往復しました。線路を渡って田んぼの中を。

投稿: 岸見一郎 | 2008年11月 3日 (月) 17時57分

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