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2008年11月29日 (土)

取り返しのつかない旅

in his dream also ...

 ようやく週末。この時間の歩みが遅く感じられる。今日はとうとう朝、父の家に行ったまま夜まで一度も自宅に戻らなかった。父が寝ている間に原稿を書き進んだが。今日は起き上がられないようで、食事の後すぐに横になって寝てしまった。このまま夕食まで起きないのだろうか、と思っていたらようやく3時頃起きていて散歩に行こうというので一安心。
 仕事に使う本がたくさんあるので持って行ってまた持って帰るのが大変なので一部置いて帰るようにしている。翻訳の続きをしようと思ってドイツ語の辞書(電子辞書)を持ち帰るのを忘れていることに気がついた。だから今夜は翻訳は断念した。
 その代わりというわけでもないが、今夜は久しぶりに近くの本屋に行った。新刊が中心で僕の求める本はほとんどないが、本が並んでいるのを見ると心が落ち着いた。自分の身体のことだけを考えていればいいのなら、遠くても出かけられるのだが、父のことが気になって11月になってからは大学に行く以外は自分の用事で遠出しなかった。
 『人生は愉快だ』(池田晶子、毎日新聞社)と『旅する力 深夜特急エピソード』(沢木耕太郎、新潮社)を買う。前者の帯にあるコピーは下手だと思うが(「死んでからも本は出る)、2007年に亡くなった池田がどんなことを亡くなる前に書いたのか読みたくて手に入れた。後者は、沢木の旅に関するエッセイを集めた本。本のカバーにある外国文学の研究者の誰にでも一世一代の旅があるという言葉を引いて、沢木はこれを「取り返しのつかない旅」といいかえているのが目に止まった。
 「良くも悪くも取り返しのつかない。それは、もうそのような旅は二度とできな
ということを意味します。私の『深夜特急』の旅も、たぶん「取り返しのつかない旅」だったのです」
 そして僕の人生も、と思った。
 写真は青鷺。近くの川には数羽いて朝と夕方には魚を捕りに現れる。

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コメント

『人生は愉快だ』は少し前に本屋で見かけて、いま図書館にリクエストして待っているところです。平積みしてあったのですが、最初は帯のコピーが目に入り印象的だったので手に取りました。笑。

 私は自分のことなんか嫌い!と思っているくせに、これまでの人生を振り返ると、あっという間にこんなに年を重ねたけれど、でも済んでしまえば嫌だとか悪く思うところはないなあ~とあきらめているというか、のんきなことを思っているような気がします。取り返しがつかないのだから、これから先はよく考えて・・・・と思いながら、ふと気づけばもうタイムオーバーとなるのかもしれません。これから先、年とともにますます取り返しをつけにくくなると思うので、もうちょっとよく考えて生きられるようになりたいです。

投稿: mari | 2008年11月29日 (土) 23時13分

 旅はどんな旅も(われわれの人生も)すべて取り返しがつかず、27日の日記で書いた言葉でいえば、不可逆的で逆転不可能です。後悔することがあっても戻ることはできません。ちょっとではなく、しっかり考えて生きてください。

投稿: 岸見一郎 | 2008年11月29日 (土) 23時26分

青鷺の飛ぶ姿も美しいけれど、水面に映る紅葉の美しい
こと!何度見てもため息が出ます。
歌舞伎で鷺娘と言うのがあります。鷺が人間の男の人に恋をする話なのですが、私は坂東玉三郎さんの鷺娘を見ました。先生の撮られた何枚かの写真を見てそのことを思い出しました。

投稿: おりひめ | 2008年11月30日 (日) 20時41分

 僕の非力なカメラでは鳥を撮るのは至難の業ですが、かなり満足のいく写真を撮れました。川面の色がきれいでしょう? 父が眠っている間に近くの川に行って撮りました。原題はin his dream also ...彼は父のことですが、夢の中にも、青鷺の飛翔する姿が現れていたら、と思ったのでした。

投稿: 岸見一郎 | 2008年11月30日 (日) 23時41分

 この飛んでいる姿の写真も、へ~飛んでいるときはこんな風にも首をしているのか~と驚きつつ見ています。普段見かける様子から飛んでいるときの姿を想像しているのと、実際は結構違うようです。

これ以上しっかり考えると恐ろしくて生きていけないような気もしますが、そういうのは「しっかり」とは言わないのかもですね。でも、それでも幸い毎日生きていられているのだから、薄目ではなく目は大きく開けとておかないといけないですね。それでもまだまだかすんでいるのでしょうから。生きるには勇気がいるもんですね。なくてもとりあえずは生きられるけれど。

投稿: mari | 2008年12月 1日 (月) 11時38分

 いえ、今はまだ「しっかり」とまではいってません、と書いてしまいそうですが、目を閉じてようが薄めを開けていようが、起こることを回避できません。

投稿: 岸見一郎 | 2008年12月 1日 (月) 20時17分

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