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2008年10月 5日 (日)

あわててはいけない

just began to bloom out ...

 雨が降っているのでどうしたものか、と思いながら、朝から仕事。翻訳と講義の準備を交互に進めている。
 僕が好んで引用する森有正が次のようにいっている。ソルボンヌで講義をし、芥川龍之介のフランス語訳をしていた頃の日記である。森は日記をもっぱらフランス語で書いているが、この日は日本語で書いている。
 「ここからしばらくの間、講義とその準備以外は全部これ(注:翻訳)にあてて早くしてしまおう。しかしあわててはいけない。リールケの言ったように先に無限の時間があると考えて、落ち着いていなければいけない。それだけがよい質の仕事を生み出すからである」(1956年11月15日)
 司馬遼太郎が宮古島の老漁師から聞いたという話を紹介している。
 「若いころはね、浜から急いで舟を出すときにでも、籾の袋をポンと舟にほうりこんで櫂で漕ぎ出したものだ」(『街道をゆく』6、p.72)
 搗いた米ではなく籾であることに司馬は注意している。
 「万一、漂流して無人島に着いた場合、耕作して余命を長らえることを考えてのことだと言えまいか」
 米が実る前に命がつきるのではないかとも思うのだが、「しかしあわててはいけない」と森ならいうだろう。

 写真はミゾソバ。文字通り溝の側に咲くことから名づけられた。蕎の花にも似ているようだ。今年も見ることができたと思う時、一年がめぐったことに喜びを感じる。

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コメント

かわいい花とハチですね。その名づけ方も親しみがもてます。
籾のこと、私は、漂流した時のたためだとしたら一つづつ剥くのに時間がかかって一気に全部食べちゃわないようにかな~、つりの時間用だと、魚がつれなくて退屈な時間でも集中してやる手仕事にいいのかな~と思いました。

投稿: mari | 2008年10月 5日 (日) 20時12分

 mariさんはすぐに食べてしまって、これで終わり? といわないですか? 自分で育てるのです…
 mariさんはきっと釣りをされたことがないのでは? 魚が釣れなくて退屈な時間というものはないと思うのですが。

投稿: 岸見一郎 | 2008年10月 5日 (日) 20時37分

 どうでしょうねえ~私だったら、結構大事にとっておいて、いざという時食べよう・・・と思っていたら、そのうちに腐ってた~なんてことになりそうです。無人島についてすぐ食べる・・・って事はまずないと思いますけれど。でも、蒔いて育てる発想は無人島にいっても思いつかないかもしれません。(無人島なんて絶対いきたくないです。考えただけでもぞっとします)

釣りは好きではないのですが、したことはあります。今すんでいる所は海に近いので最近もやりました。つれないときは、竿の見張りをしながら片手で読書したり、ながら釣り派?です。釣れだしたら、今度は俄然張り切りだして見えている魚全部釣ってやる!とものすごく集中します。釣りも人それぞれ性格がでそうですね。笑。

投稿: mari | 2008年10月 5日 (日) 21時28分

 そういう片手間では本当は釣りはできないのです。子どもを見ながら読書するようなものですから。

投稿: 岸見一郎 | 2008年10月 5日 (日) 23時15分

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