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2008年10月23日 (木)

ノウハウを集めるのではなく

 講義を終えて控室に戻ると、冷たい雨が降り出していた。夕方までは持つかと思っていたのだが。問題は駅までのスクールバスが3時に出るのだが(それを外すと次はたしか4時半までない)、15分ほどの間に100人以上の学生の出席カードを出席表に記録することができるかだった。これまでは天気がよかったので、15分歩くことは苦ではなく、一度もバスの出る時間に間に合ったことはない。いつも手伝ってくださる先生も今日は会議でこられず、教室を出る前に男子学生が持っていたカードには女子学生の名前が書いてあったのはどうしてなんだろう、悪びれず様子もなかったから出しておいて、といわれたのだろうか、などと思い出しながら、時計をにらんで作業をしていたら、教務の人が後はこちらでしますから、とバスに乗ることを勧めてくださった。ありがたかった。半分くらいしかできてない、といったが三分の一もできてなかったかもしれない。講義は今回予定していた分を終えることができなかった。少し本題から逸れるけれども、説明しないわけにいかないことについて話し始めたら学生が熱心に聞くので、こちらも力が入ってしまった。
 帰宅後、いつものことながらひどく疲れたが、夜遅くまで眠れず、昨夜はついにこの数ヶ月取り組んできた次に出すアドラーの著作の翻訳を最後まで終えることができた。いそいでタイプしているので間違いも直さなければいけないし、ところどころ(どころではないか)難解で暫定的にしか訳せてないところもあるが、これからは毎日まとまったページを読み直せるのはありがたい。翻訳は遅読、熟読の極みだが、時間をかける分、全体の展望を見失うことは否めないからである。しかし、早く読めばわかるというものではない。先行訳は誤訳が散見し(あまりに多く)、そのために論旨が飛躍しているように見える箇所も多々あったが、それを正しアドラーを救うことができたとはいえ、なおすらすら読めない。野田先生が、この本の名前をあげて、知識やノウハウだけを集めようとする人には悪い本でも、自分の中に知恵を創り出そうとする人にはいい本であるといっていることは終始励ましになった。僕の中に知恵が創り出されたかははなはだ疑わしいのだが。

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日記」カテゴリの記事

コメント

>>昨夜はついにこの数ヶ月取り組んできた次に出すアドラーの著作の翻訳を最後まで終えることができた。

またこれからが大仕事なのだとは思いますが、最後まで終わられたとのこと、お疲れ様でした。おめでとうございます♪

投稿: mari | 2008年10月23日 (木) 14時48分

 まだ注釈も解説も書きますから、脱稿までにはなお時間がかかりそうです。頑張ります。

投稿: 岸見一郎 | 2008年10月23日 (木) 18時46分

 原書が翻訳され、出版されるまでの足取りと変容が感じられる軌跡の本を読むことができたら楽しそうですね。『最終的にこの言葉になったんだ!』っていろいろ想像ができて楽しめそうです。

投稿: フィン・カ・ビヒア | 2008年10月23日 (木) 21時22分

 解体新書の時代の話みたいですが、訳語を決められないことはたしかによくあります。僕の好みはあまり統一的に決めないことなのですが。

投稿: 岸見一郎 | 2008年10月23日 (木) 21時34分

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