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2008年9月 9日 (火)

子どもを叱らない

 子どもが理想的に従順であればいいようなものですが、親子の間に考えの違いがある方が、むしろ当然で、子どもが親のいうことをすべて受け入れるというのもどうかと思いますし、子どもを自分の思うとおりにすることは、そもそも不可能ではないでしょうか。親子の間に考えの違いがあったり、子どもが親の思うとおりの行動をしないことが問題なのではなくて、そのような場合、どのように調整していくかが重要ですし、子どもにも学んでほしいのです。
 このような時、親は子どもを叱るのですが、これは、親が思うほど有効ではありません。なぜなら、多くの場合、その後も同じことが何度も繰り返されるからです。なぜなら、子どもは自分がしていることが親に叱られることであることを知っているからで、その上で、あえて叱られるようなことをしているからです。このようなことをするのは、せめて叱られることでもしなければ、親に注目してもらえないと子どもが思いこんでいる時です。実際、適切なことをしてみても、親はそれを当然なこととして特に注目しません。このように考えている子どもを叱れば、いよいよ叱られることを続けることになります。
 もちろん、親があまりに怖ければ、子どもは、このいわば確信犯的な行動を止めるでしょう。しかし、その場合は、三つの問題が起こるかもしれません。まず、親の顔色を窺うようになるということです。たしかに親に叱られるようなことをしなくなるのですが、積極的に適切な行動をするようにはなりません。そして、やがては、親のみならず、他の人からの評価を気にかけ、自分の判断では行動しなくなります。
 次に、家庭であれ学校であれ、ここにいてもいいと感じられることは、子どものみならず、誰もが望むことですが、叱られるとここには自分の居場所がないと感じてしまいますし、叱る人のことを好きにはなれません。そうなると、叱る親と子どもの間の心理的な距離が遠くなりますが、関係が近くなければ、子どもを援助することはできません。親のいうことが正しくても、親の言葉に従わないでおこうと決心するというようなことが起こるからです。
 もちろん、親が怖ければ子どもは積極的には反発しません。ここに第三の問題が起こります。子どもは、面と向かって反発せず、裏に回って、親が、腹が立つというよりは、嫌な気持ちになるようなことをすることがあるのです。ある子どもは、親に打たれている間に、こんなことを思いました。「これを忘れてなるものか」。そして復讐の機会を窺います。こうなると、親子関係の修復は難しくなります。
 以上のようなことを考えて、叱らないように親に勧めるのですが、このことは、子どもを放任にするということではありません。子どもが人に迷惑をかけるようなことをした場合には、それに注意しなければなりませんが、子どもを叱らなければならないことになる前に、できることがたくさんあるということを知ってほしいのです。子どもを叱らなくてもすめば、毎日の生活はどれほど楽になることか。最初に見たように、子どもも叱られたくはないのです。子どもを叱るために必要な途方もないエネルギーから解放されるためにはどうすればいいか、少しずつ考えてみましょう。
(『ぷろぽ』2008年5月号)

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