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2008年8月31日 (日)

言葉かけは慎重に

 前回は、勉強は子どもの課題であれば、本来、親は何もすることがないということを指摘しました。しかし、今回はこのことの理解を前提として、子どもたちにどう関わっていけばいいか、とりわけ子どもがあまり積極的に勉強に取り組んでいないように見える時にどう関われるか考えてみましょう。
 子どもたちが勉強に取り組み、いい成績を取っているのであれば当然親は何もする必要はありません。しかしそんな子どもでも行き詰まることはあるでしょう。そんな時何か親にできることがあればと思いますし、子どもの方からも親に頼ってみたい、援助してほしいと思うこともあるでしょう。親が子どもの代わりに勉強することはできませんし、子どももそのことはわかっているはずです。
 まず、子どもを追い詰めないことが大切です。成績を悪いことを苦にして凶行に及んだ子どもの話は他人事ではありません。誰でも思うような成績を取れないことはあります。とりわけ日頃よくできると思っている子どもは、人から見ればいい成績でも動揺してしまいます。
 そこで思うような点数を取れなかった時でも、失敗を恐れない子どもになってほしいので、子どもが親に叱られるのではないかと恐れないようにすることは親ができる数少ないことの一つです。成績がよくない時にそのことについて子どもが親に話すということは、ある意味で援助を求めてきているということです。そんな時に、「こんな成績では駄目じゃない」というような言葉をかければ、多くの子どもは勇気をくじかれるでしょう。「よく頑張ったね」と達成できたことに声をかけるのは安全です。大切なことは結果ではなく、結果に至るプロセスなのです。試験ではやはり結果がすべてである、と考える方もあるかもしれませんが、子どもが結果が出ることを恐れてそもそも試験を受けない、それどころか勉強することも断念するところまで追い詰めては子どもを援助することにはなりません。
 親には何もいってこないで落ち込んでいるように見える時はそっとしておくことも大切なことです。「辛そうね」というふうな言葉をかければ、私〔僕〕は苦境を一人では乗り切れない、と思うようになるかもしれません。
 では、いい成績を取ってきた子どもには何といえばいいでしょう。この場合も、本来的には何もいう必要はありません。強いていうとすれば先の場合と同じく「頑張ってね」か点数には反応しないで「うれしそうだね」です。「次も頑張るのよ」は、子どもが自信があれば、そのようにいわれても平気でしょうが、今回はたまたまいい点が取れただけと思っている子どもにとっては「頑張れ」はプレッシャーになるでしょう。
 カウンセリングをしていると子どもと勉強の話しかしていなかったことに気づかれる人があります。勉強は子どもの生活の大切な部分であっても、そのすべてではないはずです。生活全般で親子関係がよくなければ子どもを援助しようとする働きかけに子どもが反発することはあります。次回は親子関係の改善について考えてみます。
(『ぷろぽ』2006年10月号)

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